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世界最大級のカルデラ(大きなくぼ地)を擁する阿蘇山(熊本県)。雄大な景観と豊かな自然環境を誇り、熊本、福岡をはじめ九州4県の飲料水の重要な源流域ともなっている。ここが近年、後を絶たない廃棄物の不法投棄で“ごみ捨て場”と化し、河川の水質悪化を招きかねない極めて深刻な状況に陥っている。不法投棄は防止できないのか? 公明党熊本県議団の現地調査に同行し、現状をルポした。
この日、調査を行ったのは竹口博己、氷室雄一郎、城下広作の3県議。阿蘇外輪山の南東斜面に位置する蘇陽町(そようまち)を訪れ、県阿蘇地域振興局の伊藤富夫・衛生環境課長らの案内で不法投棄現場を見て回った。
初めに、足を運んだのは町内長谷。国道265号から少し入り込んだ旧道そばの山林地域。急斜面を下りると、冷蔵庫やバイク、廃プラスチック類などが途中の大木群に引っ掛かる形で捨てられていた。
続いて訪れた町内梶原の投棄場所は牧場内にあった。牧場入り口の鉄の扉を開けて進入し、2、300メートル奥まったくぼ地に不法投棄しており、錆(さ)びた精米機やテレビ、タイヤなどが散乱。「これは、すごい!」と息をのむ一行に、伊藤課長は「元々は、この何倍もあったんです。建設業協会がボランティアで取り除いてくれましたが、その残りがこれです」と説明していた。
広大なカルデラ、外輪山麓に広がる高原地帯などからなる阿蘇地域。面積約1200平方キロメートルで、その大半が阿蘇国立公園に含まれている。そこから流れ出た清流は熊本、福岡などの周辺都市の水がめとなっている。
ところが近年、山間部を中心に廃棄物の不法投棄が後を絶たず、河川の水質悪化も心配されている。県阿蘇地域振興局によると、郡内における不法投棄場所が約200カ所以上に上ることから、昨年8月、郡内の自治体、民間団体など79機関(団体)で構成する「阿蘇地域不法投棄対策連絡協議会」を立ち上げた。
監視を強化するため、同10月、同振興局と郡内郵便局(27局)との間で協定を結び、郵便局の外務員に廃棄物の不法投棄を監視してもらうことにした。今年3月には、山間地に入り込み環境保全活動に取り組む「阿蘇地区パークボランティアの会」との間でも不法投棄対策に関する協定を締結。また、不法投棄監視員制度を設けるなど地域内の7町村で監視体制の整備も進んでいる。広大な地域をカバーするため冬場に熱気球を利用した空からの監視も、昨年に引き続き実施される。
調査団に同行した伊藤課長らによると不法投棄の実態は「ここ数年、監視員が巡回しない早朝や夜間に投棄するなど悪質化し、証拠隠滅のため焼却したり、重機で穴を掘って埋めるなど捨て方も巧妙化している」。また、今年4月の家電リサイクル法施行後は「処理費用を出すのを嫌って投棄された家庭電化製品類も多く見られる」という。
同振興局は先月、熊本県立大の篠原亮太教授を「環境アドバイザー」に委嘱し、不法投棄や水の保全など阿蘇の自然保護を進める上での総合的なアドバイスを受けることにしている。調査を終えた竹口議員は「阿蘇は日本の財産。環境破壊を防止するためにも不法投棄対策に力を注ぎたい。今後、調査範囲を県下全域に広げる方針」と語っていた。
----(公明新聞より転載)----
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